【見た】男はつらいよ 寅次郎紅の花

男はつらいよ 寅次郎紅の花男はつらいよ 寅次郎紅の花
(1995)
渥美清
松竹

NHK-BS2 男はつらいよ48作放送より

48作品作られた壮大な下町オペラ「ア・マン・イズ・ハード」も
ついに48作品目を迎えることとなった。

冒頭のクレジットで「CG技術協力 日立製作所」なるものがあり
「ポリゴンの寅さんでも登場するのか?」と不思議に思っていると
出ましたよ、爆笑ポイントが。
阪神大震災が起こった当時のニュース映像へ
寅さんの姿をCG処理で合成して、あたかも寅さんが
神戸でボランティア活動に勤しんでいるような映像を作っていた。
(ニュースフィルム提供:サンテレビと言うクレジットあり)
その中でも「村山総理が避難所を慰問」のカットは秀逸。
もちろん寅さんも合成で映ってたんだけど、
寅さんは総理の隣に並んで
「俺からも総理にしっかり言っとくからな!」
「おい、村ちゃん、行こうぜ!」
みたいな事を言ってて日本の総理大臣に対しても
いつでもフレンドリーな寅さんに爆笑した。

「私、今度結婚するの」
久しぶりの登場である泉ちゃんはいきなりの衝撃発言。
やけになった満夫は結婚式が開かれる岡山の津山市に現れ
花嫁の泉ちゃんが乗る車の車列にレンタカーで特攻攻撃。
そのときの津山の人たちの対応に驚いた。
神聖な結婚式へ向かう車の列に自らの車をぶつけると言う
強硬手段に花婿の親戚一同は相当慌てたのか、
「出て来い、ゴルァ!」「ドア開けんかワレ!」「何しよんや!」
「お前何考えとんや、ええかげんにせぇよ!」
明らかに893な口調でののしり、
挙句の果てには満夫を車から引き摺り下ろして袋叩きに。
ここまでしたら逆に親戚達の方がPoliceに怒られるぞ。
津山の人の本性が分かってしまったw

なんとか警察からは厳重注意で済んだ満夫。
でも、もう泉ちゃんに顔向けはできない。
もう死にたいと思ったのか、満夫はふらりと奄美大島へ。
奄美大島のすぐ隣には、加計呂麻島という小さい島があって
満夫もふらりと船にのって加計呂麻島に流れ着いた。
実はこの加計呂麻島、俺のママンが中学校の時に住んでいたそうだ。
何も無いごく普通ののどかな南の島だとか。
今度「寅さんに加計呂麻島出てたよ」って教えてやるか。

加計呂麻島奄美大島を結ぶ連絡船(と言ってもほぼ漁船クラス)
その船の乗組員のオジサン2人が話す言葉は奄美言葉。
奄美言葉は数ある方言の中でもトップクラスの難易度で、
自分もママンの故郷の徳之島に遊びに行ったら
おじいちゃんやおばあちゃんが何を喋ってるか
まったく理解できない。すなわち日本語から遠く離れている言語。
だから、そのオジサン2人の会話には字幕が入る。
なんて親切なんだろう、と感動したのは自分だけだろうか?

今作は、おそらく「ハイビスカスの花」以来の
リリー登場作品だったが、映画の最後で寅さんと
一緒にタクシーに乗ったリリーのシーン。
明らかに不機嫌そうな運ちゃんに
「JRの金町駅までお願い。」と告げるリリーを見て
「おっ、常磐線か。じゃあそのまま北へ行って
東北なり北海道で中むつまじく暮らすのかな?」
と思いきや、寅さんと意気投合したのか
加計呂麻島までお願い。奄美大島のね」
呆れ顔の運ちゃんに「加計呂麻島が無理なら羽田空港で」
このやりとりを見て、まる寅さんが安住の地を
捜し求めているように見えたのは自分だけだろうか?

やっぱり、満夫は靴のセールスなんて言う仕事より
どこか自然豊かな田舎で農業か漁業に勤しんだほうが
よっぽど本人のためになると映画の最後に感じた。
親父の博が息子にサラリーマンになって欲しいというのは
町工場で働く自分が情けないと思って自分の息子には
せめてまともな会社で働いて欲しいと思ったからでは?
自分には大自然の中で汗を流す満夫の方がずっと輝いて見えたよ。